瀬尾まいこ『卵の緒』

卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)

予想以上によかった。「卵の緒」も「7's blood」も。特に後者は電車の中で泣いた。ケーキのシーンがもう…。腹違いの姉弟が一緒に暮らし始める話。最後が悲しすぎるけど、血縁っていうどうしようもないつながりの残酷さと奥深さが一緒になってた。七生の「子どもだからだよ」という台詞は、子どものくせにいろんなことを知りすぎてしまっている七生にぞくっとするけど、切ない。瀬尾まいこの文章は優しい。きっと人間に対して優しい。
――大人になって意思を持ち始めると、手は引かれるものじゃなくてつなぐものになっていた。
このフレーズは、手を引かれることが少なくて、しかもしまいには自分が手を引く側になった七生の、急いで成長しなきゃいけなかった状況を説明してしまってる気がする。
残響 (中公文庫)

残響 (中公文庫)

こちらも◎。でも『プレーンソング』、『草の上の朝食』のような「この作家やばい」っていうかんじにはならなかったかなあ。期待しすぎたかな。